ts-kabu’s blog 

上昇の売買譜

メモ

  • 「株を買う」という行為と「株を売る」という行為は1対1の対称性があるわけではない気がしている。もしかしたら重要性の因子が3個あるとしたら「株を買う」行為は2個で、「株を売る」行為は1個なのかもしれない。だからこそ、多くの株式投資の本には「割安銘柄を買え」と書いてあり、割安の基準を様々に書いている。
  • なにをどう割安と考えるかはさておき、「買う」という行為に的を絞っている投資本は少ない。「割安」の議論ばかりで、「買う」ことの本質が何かはなかなか書いていない。
  • 株式投資は、現金と株式を交換すること。現金は、金利や物価といったマクロな影響を受けるが、株式は、個別企業の業種・業態・業況、天災、社長の個性、従業員の能力、取引先の事情などミクロな影響を受ける。ノーベル経済学賞を取ったピケティによれば、現金というのは経済成長率、つまり労働所得、ここでいう現金(給与として毎月一定額増えていく現金)、よりも、資本収益率、つまり株式の価値増加のほうが多かったという話。これはつまり現金よりも株式のほうが長期的にみれば増加率は高いわけで、徒歩で行くか、車(電車、飛行機、つまり文明の利器)に乗るかの違いと極論的に考えてみる。
  • ある目的地に行く方法はいくつかある。家を出て、通りまで行き、タクシーが来るまで少し待って、来たタクシーが空車だったら拾って、目的地まで運転してもらい、目的地の目の前まで行け無さそうなら手前で降り、また少し歩き、目的地に着く、という場合を想定する。これは、社会に出るまで教育を受け、働いて賃金を稼ぎ貯蓄し、資産運用を始め、高齢になったら取り崩し、死ぬ(相続)、というフローに相似している。現金を貯めて、投資運用し、最後に現金化するということ。電車を乗り継いで、飛行場に行って、飛行機に乗って、という方法もある。全部徒歩で行くよりは確実に早い。しかしお金はかかる。それを負担できるくらいの資金力がなければ徒歩で行かざるを得ないが、どこかで必ず徒歩でなければならない場面は生じる。飛行場の中は歩くだろうし、駅のホームも歩くだろう。近ければ(ドアツードアなら)車やバスでいいかもしれないが、遠いところに行けばいくほど徒歩の場面は増える気がする。
  • 重要性の因子が3個あるとして「買う」は2個、「売る」は1個だとしたら、「買う」という行為は、現金を株式に変換する行為だから、車に乗るということを意味する。遠いところに行こうとするほど、車、電車、飛行機でいく重要性は増すはずだから、「「買う」は2個」というのは妥当だと思う。
  • では、「売る」をどう考えるか。「割安で買え」の反対は「割高で売れ」になるが、これはつまり、「極力歩く距離は減らせ」=「車を降りるならできるだけ行ってからにしろ」とも言えるはず。
  • 個人投資家はどこまでいけるのか。日本ならBNF氏などは300億円くらい。CIS氏も250億円くらい。そこらへんが地平なのかもしれない。その地平を更新できるとは思っていないが、個人でそこまで行った人がいるならその辺りまで行きたい。機関投資家が10兆円運用していたとして、それが10兆300億円になったり99兆9700億円になったりするのは日々の誤差だと思うが、その誤差が個人投資家の地平になっている。非常にミクロな世界、誤差の世界。そんな狭い、小さな世界に対して、どこまで科学は進展しているのだろう。ここでいう科学というのは株式投資の方法のこと。機関投資家と同じ考え方でこの誤差も説明できるのだろうか。機関投資家が無視するような誤差の世界を、必死こいて機関投資家と同じようなやり方で埋め切れるのか。何年かかるのか。それまで生きているのか。たぶん何かが違う。ドライバーでゴルフボールを打つ方法で、パターがうまくいくのか。ニュートン力学量子力学くらい、たぶん違う。説明しなければいけないことが違うから、違う方法で攻めないといけない気がする。機関投資家が飛行機に乗って一日で行く距離を、個人投資家は徒歩と車で1か月かけて行くようなものだから、必要なのは飛行機のチケットではないはず。
  • 「割高で売れ」ということをもっと考えないといけない気がする。重要性の因子でいえば1個。こっちを全力で考えないといけないのかもしれない。「車を降りるならできるだけ行ってからにしろ」。
  • 【各論1ー1】なぜかわからないが株価が急落するときがある。調べたら、工場で事故が起きたのかもしれないが、その事故が大したことがなかったら、元の株価に戻る。ほかにもトヨタ自動車の2023年5月23日の誤発注とか、TOYOTIREの2024年1月19日の文春砲なども同じ。理由が薄い、というかほぼ何にも変わらないのに瞬間的に下がることがある。そういう一瞬のリバウンドを狙った取り引きをしたことがある。不安を煽られて売ったのかもしれないし、間違えて売ったのかもしれない。変な期待を集めて買われたり、間違えて買うこともあるから、理解できる。
  • 【各論1-2】逆に、瞬間的に上がることもある。特に低位銘柄に多い。ピンと上がる。これは全く材料がないときに起こる。もしかしたらあるのかもしれないけれど、ニュースや開示は全くない。「割高で売る」というのはこれを狙うのが一つかもしれない。でも、その瞬間が来るまでずっと待っていないといけないのが難点。
  • 【各論2-1】変な期待が集まっているときに売るのも方法の1つ。投資家が期待を持つのはどういうときか。最も期待が膨らむのはどういうときか。それは、決算発表前かもしれない。今日の自分もそうだが、決算がもしよかったら翌日上がるかもしれない、と期待する。だから、それを逆手にとって、決算が期待されそうな銘柄を少し前に買っておいて、決算発表直前に売る、というやり方。買う時に割安かどうかはどうでもいい。決算が期待されそうな銘柄を探す。
  • 【各論2-2】それをいつ買うべきか。決算と決算の間の3か月間のどこかで、大きく下げたタイミング。特に悪いニュースがないのに陰線が例えば4つ続いたら、とか、銘柄によるが、決めておくのもありかもしれない。それと、期待がされる、その期待が大きいほどいい。そういう期待は、情報が多いほうがいいのか、少ないほうがいいのか。わかりきっていたら期待しないだろうし、情報が複雑な方が憶測を呼びやすいかもしれない。情報が少なくて複雑な銘柄。だけど変化は欲しい。業績がまったく変わらない状態が続いている銘柄なら、情報が少なくて複雑でも、どうせ変化ないだろうと見向きもされないと思う。情報量と複雑さについてはもっと深堀が出来そうな感じがするが、今の時点ではこれくらいしか思い浮かばない。
  • 「割安銘柄を買え」とは、ある基準でスクリーニングしたときに、選出された複数の候補の中から1つを選んで、すぐに買うということだと仮定する。複数の候補の中からどれを選ぶのかという点で恣意性はあるはずだし、その時よりも安くなるまで待って買おうとしたら高くなってしまいタイミングを逃すこともありうる。だから、ある基準で選ばれた最も基準に叶う銘柄をその瞬間に買うということだと仮説を上書きできる。言語化すると、「トヨタ自動車を3月15日に買う」ということになるが、スクリーニングした日が最適だったのか、買う株数はいくらが適切だったのか、という点が見落とされている気がする。「思い立ったが吉日、旅に出かけたが着替えは忘れた」というようなものな気がする。スクリーニングした日から実際に買う瞬間までの期間をどう考えるべきかが見落とされている。特に株数。100株なのか、運用資金全額つっこむのか。それは自分で考えてくれと言われても、さんざん割安銘柄を買えと言っておきながら、その部分を思考放棄している。株式を買うというのは、いつ、どの銘柄を、いくらで、何株買うのか、というものなので、変数は4つあるはず。スクリーニング方法だけは披露されるので必然的に銘柄にはたどり着くが、それ以外の3つについては言及がない投資本が多い。逆に、株を売るときについて考えると、利益が1円でもでたらいいという発想で、なお且つ個人投資家の地平を更新するつもりもないので、利益さえ出る株価であれば、含み益になった瞬間に、持ち株全部売っていいので、変数は1つだけに絞れるはず。
  • 何年やってもダメな人と、1,2年で簡単に増やしていく人、正規分布に従う。これは投資経験年数ではなく、単位時間あたりに稼いだ金額によって累積的に投資がうまくなる?双曲線のラインと縦軸横軸の切り方で違うイメージ。
  • 前に進んでいるが、ある目標値を設定したら永遠に近づけなくなる。近づけば近づくほど進みが遅くなる。目標値を手前に設定しなおしても、同じく近づけば近づくほど進みが遅くなる。だから目標値は遠いほうがいい。個人投資家の地平なんて見ない方が本当はいい。行けるところまで行きたいし、そんなことそもそも考えない方がいい。しかし、株式投資の情報を集めるうちにそういう地平の情報が入ってきてしまう。知ってしまった以上、知らぬ間に目標値が設定されてしまった。
  • 宝くじが当たらないと思う人は株式投資に向いていない。当たる人がいるなら参加するべき。期待値は常に0より大きいし、参加する金額もほぼ無視できる金額。機関投資家が無視できるような誤差に執着するために株式投資を選んだはずなのに、宝くじを買うような小さい金額さえ気にする人は言動が一致していない。
  • 宝くじは、確率ではなく可能性である。確率というのは同時的に全ての結末を把握できるものだが、すべてのくじを買い占めることは生涯賃金から考えれば、同時に全ての事象を当事者(一人の人間)が観測することは不可能だし、一つずつ実証していく過程で当たりがでたらそこで観測をやめるはず。だから確率とは言えない。可能性があるってだけ。当たるかどうかの実質2択。